2024年1月から新NISAが開始されました。
話題の制度ですが、内容がよくわからないという方も多いと思います。
- どんなメリットがあるのか、よくわからない
- 投資の経験がないから、何となく怖い⋯
- 旧NISAとの違と何が違うの?
投資経験のない方が制度について理解できず、NISAを始めていないケースは多いです。
私は金融機関で20年間勤務し、FP1級の資格を保有しています。
その中で、多くの方の資産形成をお手伝いしてきました。
そこで、この記事では投資初心者でもNISAを理解できることを目的に、制度内容からメリット・デメリットまで、わかりやすく解説します。
NISAについて理解を深め、資産形成に活かしていきましょう!

NISAは上手に活用することで、多くの人にとって資産形成の柱となる制度です
NISAとは、投資で得た利益に税金がかからない枠のこと
投資の利益に税金がかからない
NISAとは「投資で得た利益に税金がかからない枠」です。
投資で得た利益には、通常20.315%の税金(所得税15.315%・住民税5%)がかかります。
一方、NISAを利用して投資をすると、20.315%の税金が非課税となります。
具体例で考えてみましょう。
投資で10万円の利益が出た場合
投資をして10万円の利益が出たとします。
通常であれば、この10万円から20,315円の税金が引かれて、手元に残るのは79,685円となります。
利益100,000円×税率20.315%=税金20,315円
利益100,000円-税金20,315円=手元79,685円
NISAを利用して投資すると20,315円の税金が引かれず、手元に残るのは100,000円になります。
利益100,000円=手元100,000円

NISAを利用して投資することで、手元に残る金額が増えます
つみたて投資枠と成長投資枠

その他の制度内容について確認していきましょう。
NISAは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠に分かれています。
つみたて投資枠とは、年間120万円まで積立投資できる枠です。
名前の通り、この枠の中では積立で投資をすることしかできません。
また、利用できる商品は金融庁が定める基準を満たした投資信託に限定されています。
選定基準は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」とされており、初心者の方でも始めやすい商品を選定しています。

金融庁が、初心者向けに商品を限定しているイメージです
一方、成長投資枠とは年間240万円まで投資できる枠になります。
成長投資枠の中では、積立で投資することもできますし、一括でまとまった資金を投資することも可能です。利用できる商品は「上場株式・投資信託等」とされており、つみたて投資枠に比べて多くの商品に投資することができます。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用可能で、2つ同時に利用することができます。

初心者の方は「つみたて投資枠」から始るのがオススメです
非課税保有限度額
非課税で投資できる枠は1,800万円となっています。
この内、成長投資枠で利用できるのは1,200万円までと制限されています。つみたて投資枠は、制限なく1,800万円全てを利用することができます。
非課税保有期間
非課税で投資商品を持ち続けられる期間は無制限となっています。
新NISAが始まる前の旧NISAでは、期間の制限がありました。新NISAは非課税保有期間が無制限となり、より長期の資産形成に使いやすい制度になりました。
年齢と口座開設期間
新NISAを開設できるのは18歳以上の方となっています。
旧NISAでは「NISA制度の開設はこの年まで」という期間が設定されていましたが、新NISAでは、いつでも口座開設ができるようになりました(恒久化)。
NISA最大のメリットは投資で得た利益に税金がかからないこと

これまでNISAの制度内容について説明してきました。
ここからはNISAのメリットについて解説していきます。
配当金や分配金、売却益が非課税になる
NISA最大のメリットは「投資で得た利益に税金がかからないこと」です。
具体的なシュミレーションを見てみましょう。
毎月3万円を20年間、年利6%で積立投資した場合
運用結果は1,386万円となります。
この内、積み立てた金額は720万円、投資で得た利益は666万円です。
通常は利益666万円に20.315%の税金がかかりますので、約135万円(666万円×20.315%)が税金として引かれます。
新NISAを利用して積み立てれば、約135万円は利益として受け取ることができます。
NISAを利用して投資するだけで、受け取れる金額にこれだけの差がでることは、非常に大きなメリットです。
これが、NISA最大のメリットになります。
データ出典:金融庁ウェブサイト つみたてシミュレーター(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/)

同じ投資をするなら、NISAを利用して投資した方が得になりますね
少額から開始できる
つみたて投資枠は、最低100円から積み立てることができます(金融機関によって、取り扱いが異なります)。
少額から投資できることで始めやすく、また、自分に合わないと感じた時のリスクも抑えることができます。
初心者が無理のない金額で開始できることが大きなメリットです。
いつでも引き出しができる
NISAで運用している資金は、いつでも引き出し可能です。
NISAと同様、資産形成の制度として人気があるiDeCoは、原則として60歳になるまで受け取りができません。これはiDeCoが老後資金を準備することを目的とした制度だからです。
一方、NISAは利用目的が決められていません。
老後資金だけでなく、教育資金等、様々な目的に使用することができます。
長い資産形成の過程では、生活スタイルやライフプランが変化することがよく起こります。
変化に対応しやすいことは、NISAの大きなメリットです。

何にでも使えて、いつでも引き出せるメリットはとても大きなものです
多くの人にとって十分な投資枠がある
NISAでは、1,800万円まで非課税で投資できます。
この1,800万円という枠は多くの人にとって十分な投資枠であると言えます。
金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査2023年」によると、金融資産保有額の中央値は単身世帯で100万円、二人以上の世帯で330万円となっています。
このことから、新NISAの1,800万円の非課税枠は多くの人にとって十分な投資枠であると言えます。
新NISAのデメリットは元本割れのリスクがあること
メリットが多いNISAですが、デメリットも存在します。
- 元本割れのリスクがある
- 損益通算や繰越控除ができない

資産形成の柱としてNISAを活用するためには、デメリットを理解することが大切です
デメリット1:元本割れのリスクがある
投資には元本割れのリスクがあります。
NISAは非課税枠の中で投資信託や株式を運用します。
投資信託や株式は元本が保証されていない商品であるため、元本割れのリスクが存在します。
正確には、NISAは非課税制度のことをさすため、新NISA自体に元本割れのリスクがあるわけではありません。
しかし、実際には枠を利用して元本保証のない投資信託や株式を運用することになるため、新NISAを利用して投資することは、元本割れのリスクが存在することになります。
初心者の方は特に、預金とは異なり元本保証がないことをしっかりと確認の上、制度を利用するようにしましょう。
デメリット2:損益通算や繰越控除ができない
NISAでは、損益通算や繰越控除ができません。
損益通算とは、複数の投資口座で出た利益と損失を合算して税金を計算する仕組みです。
繰越控除とは、損益通算しても損失がある場合、最大3年間、損失を繰り越して翌年の利益から差し引くことができる仕組みです。
両方とも、投資で損失が発生した場合には、支払う税金を少なくする効果があります。
NISA口座は、利益が出た時にはその利益に税金がかからない制度ですが、損失が出た場合の損益通算や繰越控除が受けれないことも確認しておきましょう。
旧NISAから新NISAに変更されメリットが拡充
NISAは2024年1月に制度が改定され「新NISA」と呼ばれる制度になりました。

改定前の「旧NISA」と比べ、良くなった点を確認してみましょう
1.つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能に
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の両方を利用して投資することができます。
旧NISAでは、「つみたてNISA」と「一般NISA」という呼び方でしたが、同じ年の中で両方を利用して投資することはできず、どちらか一方を選択する必要がありました。
改正によって、より使いやすい制度になったと言えます。
2.非課税保有期間は無期限に
非課税が適用される期間は無期限となりました。
旧NISAでは非課税の適用が受けられる期間は、一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間という制限がありました。
投資で安定した収益を上げるためには長期に投資することが重要になります。
非課税保有期間が無期限になったことで、より長期投資に活用できる制度となりました。
3.口座開設期間の恒久化
口座開設はいつでもできるようになりました。
旧NISAでは、口座開設できるのは2023年度までという期限がありました。
4.非課税保有限度額が1,800万円に
新NISAの非課税保有限度額は1,800万円となり、非常に大きな枠になりました。
旧NISAの非課税保有限度額は、一般NISAが600万円(120万円×5年)、つみたてNISAが800万円(40万円×20年)でした。
5.投資枠の再利用が可能に
新NISAでは、投資商品を売却して投資枠に空きが出た場合、その投資枠は翌年以降、再利用して投資することが可能となりました。
旧NISAでは、一度利用した投資枠は商品を売却して空きが出ても再利用することはできませんでした。
以上の改定により、多くの人にとって十分な非課税保有限度額をもった、より使いやすい制度になったと言えます。
新NISAの始め方

新NISAは銀行や証券会社等の金融機関で開設できます。
中でもオススメなのがネット証券の利用です。
特にSBI証券や楽天証券は口座開設者数が多く、取扱商品も豊富です。
口座開設はそれぞれのホームページからできますので、ぜひ検討してみてください。
以上、新NISAの制度内容について、メリット・デメリットを中心に解説してきました。
これまで述べたように、新NISAは多くの人にとって十分な非課税枠があり、資産形成の柱となり得る制度です。
制度内容を十分に理解し、資産形成に役立ててください。

上手に活用して資産を増やしていきましょう!
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